ニューヨーク・スリープ・ノー・モアは必見!新感覚体験型の舞台

スポンサードリンク



ニューヨーク・スリープ・ノー・モア(SLEEP NO MORE)とは?

ニューヨークの「Sleep No More」という舞台を観に行った。

むしろこの舞台を観に行く事がニューヨーク渡航のメインの目的の一つだったと言ってもいい。

ただ、舞台といってもブロードウェイではない。

場所はチェルシーにある閉館したマッキトリック・ホテル(The McKittrick Hotel)を舞台にしたオフブロードウェイ劇。

それは観覧者自身がホテルの地下1F〜6Fを自由に動き回りながら自分の好きな場所、好きな登場人物を選んで見ることができる新感覚体験型のミュージカル。

ちなみに台詞は一切なく、ほぼ役者の動きと表情だけで見せる舞台なので英語がわからなくても全く問題がない。

行く前に調べた情報によると内容はシェイクスピアの「マクベス」、そして「レベッカ」だそう。

改めて読みなおしてはいないが、「マクベス」は学生時代の授業で何回かに分けて扱っていた作品。

当時、原文と日本語訳を照らし合わせながら読んだ記憶が残っている。

また、「レベッカ」はヒッチコックの映画は昔観たのでなんとなく内容を覚えていた。

この「Sleep No More」のストーリーは一貫していて、結末も同じ内容だが、1階で何らかのシーンが展開されているときに2階では違うシーンが展開されている。

登場人物は色々いてその誰を追いかけるかによって各々の観客は違うシーンを見る。

どの場面を見るかは各々が自由に選べるわけだ。

このような会場全体が舞台となり、観客と役者の境がない演劇はイマーシブ・シアター(Immersive Theater)と呼ばれ、実は昔からあったらしい。

そしてロンドンでは数多くのイマーシブ・シアターが存在する。

イマーシブ・シアター、スリープ・ノー・モアを実際に体験!

このスリープ・ノー・モアはイギリスのパンチドランク(Punchdrunk)という劇団が2011年に初公演して以来何年もずーっと上演し続けられているとのこと。

何年も衰えずずっと人気があるのには何か秘密があるのだろう。

私が行った時も人は並んでいた。

まず入館すると全員仮面を渡される。

観客は皆これを被ることになる。

仮面をつけた大勢の観客が様々な角度から一緒にその舞台を観ることになる。

観客全員がつける仮面によって空間全体が異様な雰囲気に包まれ、不思議な演出効果となっていた。

その仮面によってもはや観客も舞台と一体化した存在といえよう。

そして驚くことにキャストとの距離が異常に近い。

客席と舞台が分けられているわけではないし、境界線も存在しない。

私たち観客の本当に目の前で、同じ空間で演技がおこなわれている。

手を伸ばしたら触れそうな距離だ。

もちろん誰も触らないのだが。

そしてそのキャストが走り出したら、私たちもそれを追いかけていく。

まるでその世界に自分たちもいるかのような感覚。

場合によっては出ているキャスト二人が別れたりするので、どちらを追いかけるかは人によって違う。

これは、、仮想現実ではないものの、観るシーンを自由時選べるという点においてまるでVRみたいではないか。

自分自身が能動的に物語を追うことで完全に舞台参加者の一部となるので、その世界への没入感がすごいわけだ。

まさにイマーシブ(=没入型)!

その世界に触れ、生きる人の息遣いを生で感じる点ではVRよりもさらにリアルに近いといえる。

ハマる人はどっぷりはまり込んでしまうだろう。

調べるとやはりこの舞台もリピーターの数がかなり多いらしい。

だがこうすることで起きる問題もある。

メインの物語を追っていける人と、全く話が理解できない人とに分かれてくる。

聞くと話が全く分からずついていけなかった人も多くいるようだ。

一緒に行ったメンバーの中で私だけが見ていた重要なシーンもいくつかあった。

恐らく作品の中でもハイライトの帝王切開、出産のシーンがある。

チカチカする照明効果も合わさってすごくショッキングなシーンだ。

しかし、私以外の誰もそのシーンを見ていない。

話の鍵となるのは主人公の「マクベス」と「マクベス夫人」だったと思う。

大体ほとんどの人が主役級の誰かを追いかけるのでわりと話を追って行くことができるのだが。

意外に皆そうでもない。

メインじゃないキャストの方を常に追いかけた人もいたし、キャストを追わず色々と舞台の美術をずっと見ていた人もいる。

そりゃぁ、、話わからないだろう・・・。

だが、この舞台は美術もゆっくりみたくなるのである。

ホテル内の各階には普通に外の砂利道や森があったり、庭があったり、バスルームや施設の部屋、ホール会場があったり、様々な凝った美術だらけ。

メインじゃないキャストもホテルのどこかでずっと何らかのシーンに登場し続けているので裏舞台も楽しめる。

意外なところで意外な人が繋がったり、各キャスト全員にそれぞれのストーリーがあるので、違う側面を色々と見ることができるわけだ。

そしてそういうメインじゃないキャストを追いかけることでしか見ることのできないシーンも多々ある。

色んなシーンを見ようとしたら、何度もリピートして舞台を観る必要があるのだ。

リピーターが多くなるのも頷ける。

というより、リピーターとして何度か通わないとすべては理解できないのだろうと思う。

よくよく見ると仮面をつけた人物の中には観客を誘導している人たちもいた。

この舞台のスタッフなのだろう。

観客をうまく誘導していき、そのフロア全体を空っぽにし、封鎖する。

そして、しばらく後に同じフロアにやってくると美術自体がガラッと変わっていたりするわけだ。

まさに舞台でセットを変えているのと同じだが、いつのまにか知らないうちに変わっているので毎回驚かされる。

ラストは皆同じ晩餐っぽいシーンを見ていた。

皆バラバラのシーンを見ていたとしてもラストだけは恐らく同じシーンを見るようにうまく誘導されるのだろう。

ところで、ホテルの1F〜6Fを次々と動き回るので、ある意味運動といってもいいくらいで結構暑くなる。

外は寒いのに中はかなり暑い。

動きやすい、暑くなっても問題ないような格好をすべきだった。

中には階段の途中で体調不良になっているらしき観客もいた。

そういう事が起きるのを見ていると、なかなか日本だとこのシステムの舞台はなかなかできないんだろうと思った。

私の観覧後の感想としては大満足で、むしろあと数回見たいと思ったくらいである。

こうしてはまっていくのだろう。

ずっと長い期間公演が続いているのも納得がいくし、大変刺激を受けた。

不思議なことに何か自分もクリエイティブなものを作りたくなってくるのだ。

スポンサードリンク