モンマルトルとは?概要と歴史
モンマルトルは、パリにある7つの丘の中で最も高い丘。
かつては城壁の外に位置しており、パリの税法の適用外で、酒類が市内よりも安く楽しめる場所だった。
また、古くからぶどう園でワイン造りが行われていたこともあり、19世紀中頃から居酒屋やキャバレーができ始め、歓楽街として活気づき始める。
1860年のパリ大改革の際、パリ市の行政区として18区の一部となり、残りはサン・トゥアンに統合された。
その後、19世紀末から20世紀初頭、家賃が安かったモンマルトルには多くの芸術家達が移り住んできた。
ルノワール、ピカソ、ゴッホなど、20世紀を代表する画家達がこの地にアトリエを構え、作品制作を行ったという。
しかし、第一次世界大戦の直前あたりから急速に観光地化・高級住宅地化が進んだ為、芸術家たちはモンパルナスに移って行った。
が、かつての名残か、今もモンマルトルの広場では画家の卵たちが集まり、キャンバスに似顔絵を描いたり、絵を売ったりしている光景が見られる。
モンマルトル観光の見所
パリで最も高い場所に佇む「サクレクール寺院」
正式名称は「バジリック・デュ・サクレ・クール・ド・モンマルトル」というモンマルトルの頂上に佇む寺院。
19世紀後半、普仏戦争とそれに続くパリ・コミューンで亡くなったフランス市民を讃えるために建設が始まったと言われている。
設計は、ノートルダム大聖堂の修復にも参加したパリ出身の建築家ポール・アバディによるもので、ロマネスク様式とビザンチン様式の2つを融合させた設計になっている。
1877年に着工してから40年の歳月をかけ、1914年に完成した。
が、第一次世界大戦の為に奉献が延期され、終戦後の1919年にようやく市民に開放される。
バジリカと呼ばれるビザンチン様式のドームスタイルと、真っ白な外壁はパリでは珍しく、一際異彩を放っている。
中に入るとまず目を引くのが475平方メートルの世界最大級を誇る、荘厳なモザイク画。
民族融和を象徴として、キリストを中心に多様な人種の人々が祈りを捧げるシーンが描かれている。
そして礼拝堂の左右と後方には様々な聖人のチャペルが並んでおり、多くの信者が静かに祈りを捧げている。
寺院の正面左側、半地下の入り口にドームに上るチケット売り場がある。
300段の階段を上りきれば、パリ市内を360度の大パノラマで眺望することができる。
■開館時間
《大聖堂》午前6:00〜22:30
《ドーム・地下聖堂》午前9:00〜17:45
■料金
《ドーム・地下聖堂》大人8ユーロ 4〜16歳5ユーロ 4歳未満無料
■アクセス
メトロ12号線 アベス駅(Abbessese)から徒歩10分
庶民たちの社交場「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」
モンマルトルの風車小屋を改造したダンスホールで、20世紀初頭まで庶民的な野外酒場やダンスホールとして使われていた。
この風車は、ナポレオンがエルバ島に流された1814年以降、モンマルトルに住む人々が外国軍に抵抗するための本拠地でもあった。
その後ナポレオン3世の第二帝政時代に、ダンスホールに改造され、多くの労働者やモデル、芸術家達で賑わった。
当時のモンマルトルには、安いアパルトマンが多く、お金のない画家たちが沢山暮らしていた為、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの様子は、多くの画家によって描かれている。
有名な作品はルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」など。(オルセー美術館所蔵)
多くの人々が席に座って談笑したり、ダンスを踊ったりしている様子が描かれていて、この頃のムーラン・ド・ラ・ギャレットを知る貴重な絵画となっている。
ゴッホによる作品では、当時の素朴で美しいお店の外観を観ることができる。
他にロートレック、ピカソ、ユトリロ、コローなどの画家たちも当時のムーラン・ド・ラ・ギャレットの様子を残している。
なお、現在この建物はフレンチレストランとして営業している。
■アクセス
メトロ12号線 アベス駅(Abbessese)から徒歩7分
ムーラン・ルージュ
モンマルトルのフランスで最も歴史あるキャバレー。
フランス語で「赤い風車」の意味で、その名の通り、大きな赤い風車がシンボルの建物である。
1889年にダンスホールとして開場し、フレンチカンカンなどのショーで一躍人気を博す。
第一次世界大戦、第二次世界大戦の最中も営業を続け、パリがドイツ軍の占領下に置かれた際は多くのドイツ軍将兵で賑わった。
パリ解放後は、エディット・ピアフやイヴ・モンタンが出演し、パリの人々を勇気づけたという。
1959年、厨房設備を整備し、食事も楽しめるナイトスポットに改装された。
現在では様々な国の王族政治家、俳優・歌手などの著名人も来場し、ショーを楽しむことがあるという。
■アクセス
メトロ2号線 ブランシュ駅(Blanche)から徒歩1分
ジュテームの壁 (Le mur des je t’aime)
世界中の311の異なる言語で「愛してる(=ジュテーム)」と埋め尽くされている壁。
アーティストのフレデリック・バロンの構想のもと、アーティストで書道家のクレール・キトの協力をえて2000年に完成。
世界中の女性観光客に人気の場所となっている。
メトロを地上に出てすぐの小さなジャン・リクチュス広場(Square Jehan Rictus)内にある。
■アクセス
メトロ12号線 アベス駅(Abbessese)から徒歩1分